アーセナル ジャカのCB落ちが1番はまったエバートン戦
アルテタ監督がアーセナルに就任してから、度々見られるグラニト・ジャカのセンターバックの左に降りてくる形。これは、機動力はないがフィード能力に定評のあるジャカをプレッシャーがあまりかからない位置に置くことで、ビルドアップの循環をよくしようというアイデアである。
これによって、突破力のある左サイドバックのサカを前に押し出し、決定力のあるオーバメヤンをゴール前に送り込むことにも成功している。
さらに後ろの人数が増えることで数的有利ができやすくなるメリットもある。
ただこの「CB落ち」が毎試合成功しているかと言われればそうでもない。
★「CB落ち」ができないとき
相手が前からハイプレスをかけてきて、かつ中盤の選手をどんどんに前につぎ込んでくる時は発動できない。
なぜなら、ジャカが最終ラインに移動する前に相手にプレスがかけられてしまうからである。
もう1つが相手の前線が3トップの時は、ジャカを含めたセンターバックが3人で数的同数になってしまうので、わざわざシステムを可変させるメリットがない。
よっていつでも発動ができるわけではない。
★相手の1stプレスが2枚かつミドルゾーンからのプレス
3人に対して、3人はきついので、当然大前提として相手の最初のプレス隊が1人ないしは2人の時である。
さらに高い位置からのプレスではなくハーフラインを超えて10メートルくらいのあたりからのプレス開始位置が望ましい。
中堅以下のチームは当然しっかりブロックを作るのでこのパターンが当てはまるケースが多い。
それが特にはまったのがプレミアリーグ第27節のエバートン戦である。
この試合は相手の1stプレスがカルバート・ルーウィンとリシャルリソンの2枚で、後ろで数的優位を作ったアーセナルはジャカのところがちょうどフリーになり持ち上がることに成功する。
そのジャカに対して、エバートンは誰が行くか決まっておらず後手を踏むことになる。
サイドハーフのイウォビはサカが気になるし、サイドバックのシティべはオーバメヤンが気になるし、仕方なく中盤のシュナイデルランが行くというのが多かった。
このジャカの位置に中盤からプレスに行くとしたら、相当時間がかかるし、1番大事な真ん中が空いてしまうという悪循環だ。
で、この試合はこの左サイドを起点に面白いようにチャンスが生まれた。
この迷いを与えることができたらアーセナルとしては完全に主導権を握っていることになる。
試合は前半に2点決まるわけだが、いずれも左サイドでジャカとダビド・ルイスがフリーで持ち上がったことから始まっている。
アーセナルのアルテタイズムを感じるのはジャカが持ち上がることで、相手のマークに迷いを生み、誰が出てくるとどこが空くということを分かっていることである。
この試合も点にはならなかったが、イウォビが出てきたときはしっかりサカを使うことができていたので、ポジショナルサッカーが少しづつ浸透していると感じた試合であった。
今後、このように自分たちで主導権を握れる展開を常に作れるように期待したいし、それが1番出たのがエバートン戦のような気がしたということで今回はその紹介でした。