プレミアリーグの名将を考察その1
名監督の条件といえば何を思い浮かべるだろうか。
リーグ優勝、上位争い、残留、昇格、率いるチームの状況によって様々であるが、その中でチャンピオンズリーグ優勝も間違いなく名監督の条件の1つといえる。
現在、現役でチームを率いている監督の中でチャンピオンズリーグ優勝を経験しているのはたったの7人で、その内の4人がプレミアリーグを率いている。
内訳はリバプールのユルゲン・クロップ、マンチェスター・シティのジョゼップ・グアルディオラ、トッテナムホットスパーのジョゼ・モウリーニョ、エバートンのカルロ・アンチェロッティである。
ちなみに過去の20年のチャンピオンズリーグ優勝監督をまとめた表がこちらである。
シーズン |
優勝クラブ |
監督 |
シーズン |
優勝クラブ |
監督 |
99/00 |
09/10 |
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00/01 |
オットマー・ヒッツヘェルト |
10/11 |
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01/02 |
11/12 |
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02/03 |
12/13 |
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03/04 |
13/14 |
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04/05 |
14/15 |
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05/06 |
15/16 |
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06/07 |
16/17 |
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07/08 |
アレック・ファーガソン |
17/18 |
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08/09 |
18/19 |
ご覧の通り、プレミアリーグを率いる監督では、アンチェロッティ、モウリーニョ、グアルディオラがいずれも複数回優勝している。
また、現在は監督業を引退しているが、マンチェスター・ユナイテッドを長年率いていたアレックス・ファーガソンは98/99シーズンのチャンピオンズリーグを制覇しているため、07/08シーズンと合わせて、2度制覇している監督となっている。
彼らのような名将に共通する特徴は何か。
実は、共通する特徴はないと思っている。当然、勝負師としてのメンタリティは誰もが持ち合わせているが、監督としての戦い方やスタイルは千差万別、それぞれが違う特徴を武器に指揮をとっている。
彼らの采配を料理に例えると、作っているジャンルはおろか、知っているレシピも使っている食材も違うからである。
今回この記事では、現在のプレミアリーグでCL優勝経験のある監督にファーガソンを加えた5名の監督の特徴を、半ば無理やり料理に例えると、どのように表せるかを記述したいと思う。
あくまでも個人的な主観なのでご了承ください。
選手を食材、戦術を知っているレシピや料理の技術に例えて話を進めていきたい。
★誰にも真似ができない高級指向グアルディオラ
グアルディオラの特徴は緻密な戦術を駆使した攻撃的なサッカーで、常に世界の一歩先の新しい戦術を生み出し続けている。
しかし、グアルディオラの嗜好なサッカーは誰でも体現できるわけではなく、マンチェスター・シティの監督に就任してかからも、数多くのスター選手を補強し、同時に監督のサッカーにフィットしない選手は放出されている。
料理で例えるならば、料理の腕もあり、誰もが思いつかない調理法を知っているが、それを実現するにはそれ相応な食材を必要とする。
誰にでも真似ができるわけではないグアルディオラのスタイルは、最高級な食材で、最高級な料理を提供する高級フレンチに例える。
★作るものは定番モウリーニョ
スペシャルワンことモウリーニョは相手の嫌なところを徹底的に消してなカウンターサッカーで数多くのタイトルを獲得してきた。
時に、「アンチフットボール」と揶揄されることもある彼のやり方は非常にシンプルでわかりやすく、高度な戦術は駆使していない。
むしろ多くのチームが取り入れている戦い方である。
しかし、彼のすごいところはスター選手にもハードワークを徹底させて、ブロックを強固にすることである。
料理だと作っているものは誰もが知っている定番ののカレーだが、使っている食材は天下一品であるため、コクが出て誰もでも作れる味にはならないというわけだ。
また、余談だがモウリーニョはチームの状態が良くない時、とりあえず守備を固めるという悪癖があるが、料理でも失敗しそうになれば、カレー粉を入れてやり過ごすというアイデアはよくあるのでそれも類似点に加えたい。
よって、モウリーニョはどんな食材でも極上なカレーに仕上げるスペシャリストである。
その2に続く