アーセナル 狡猾なモウリーニョにやられたノースロンドンダービー
グーナーとしては絶対に負けられない試合、ノースロンドンダービー。試合の支配はしていたが、不用意なパスミスとセットプレイからの得点で負けるというのは、いかにもアーセナルらしい悪い意味で。
でこういう狡猾な勝ち方ができるのがモウリーニョの強みである。
選手にハードワークを徹底させて相手の嫌がるところ執拗について、攻められても要所を締める。かつてヴェンゲル時代に苦しまされたモウリーニョサッカーそのもので、憎らしい程狡猾であった。
戦術的なことは一旦封印して、この試合におけるモウリーニョの憎らしさを語りたいと思う。
★フィジカルモンスターシソコのサイドハーフ起用
本来真ん中が主戦場のシソコは昨シーズンポチェッティーノ監督時代にもサイドで起用されることは多々あった。
ただモウリーニョは彼を中盤で使うことの方が多かったのでわりかし以外ではあった。
恐らく意図としてはアーセナルの3−4−3に対して4−4−2でシステムを噛みあわせた上で、ウイングバックのティアニーとハーフスペースをケアしつつも、時には前にでてコラシナツに圧をかけさせるというものであろう。
守備範囲が以上に広いシソコだからこそ可能なミッションである。
さらに、コラシナツのビルドアップが拙い部分を圧倒的なプレス力があるシソコを当てるというのも非常に嫌らしい。
相手がやられたら嫌なことを熟知している。
そんなコラシナツのパスミスから失点したのは決して偶然ではないのかもしれない。
★流れを切るテクニカルファール
フェアプレーの精神を考えると賛否両論があるかもしれないが、この日のスパーズはファールが非常に上手かった。
アーセナルの攻撃のテンポが上がりそうな時は必ずと言っていいほど、ファールで流れを切っていた。
また、カードにならないくらいギリギリ、出てもイエローくらいのところを攻めているのが非常に上手い。
ファールで止めるというのは逆にいうと、ここは止めないとやばいなという試合の流れを全員が理解してからに他ならない。
恐らくやばいと思ったらファールで流れを切るという共通認識がチームであったのではないかと思う。
主導権を握られても気持ちよくプレーはさせないというのはモウリーニョの真骨頂である。
★中を徹底的に締める
スパーズが試合を通して隙のない守備をしていたかというとそうでもない。
支配率が低いのはいいとしても、サイドに振られることもあったし、降りてくるラカゼットを捕まえ切れず中盤で数的不利を作られることは多々あった。
もちろんシュートもそれなりに打たれている。
それでもシュートに対しては必ずブロックに入るし、揺さぶられてもセンターバックは外につり出されず中で勝負できるし、とにかくチーム全体で中を締める意識が非常に強かった。
押し込まれても急所には絶対に入れさせない、閉めるめるところを徹底的に閉めるという割り切りはこれぞモウリーニョであった。
アーセナルの戦術的な課題も多々あるが、この試合はモウリーニョの狡猾さが何より際立っていた試合であった。