EL決勝セビージャVSインテル セビージャの勝因を考察
ヨーロッパリーグ(EL)決勝戦はセビージャが激闘の末3−2で勝利した。
準決勝の両者の戦いを見ると戦前はインテルが有利だと個人的には思っていたが、蓋を開けてみれば、セビージャが勝者に相応しい内容のサッカーで見事優勝に輝いた。
インテルもチャンスは数多く作っており、内容的にはどっちに転んでもおかしくない試合ではあった。
そんな中で勝負を分けたのはサイドでの攻防と、カウンターの芽を摘む守備であった。
今回はその2つのポイントを軽く触れたいと思う。
★5バックの守備をかいくぐるセビージャ
セビージャの攻撃の形のほとんどがサイドからで、ウイング、サイドバックの連携でタッチラインまたはハーフスペースを攻略するのが基本である。
また、左サイドはバネガがビルドアップに加わるので、基本レギロン、オカンポスの2人がメイン、逆に右サイドはジョルダンも関わってくるのが多い。
そんなセビージャのサイド攻撃に対して、インテルは各レーンに満遍なく選手を配置できる5バックであり、そこをどう突破するかがこの試合の注目であった。
この試合に限らずではあるが、セビージャはサイドチェンジが非常に多い。
この試合でもバネガを中心に多くのサイドチェンジを繰り出すことで、インテルのウイングバックとセビージャのサイドバックが1対1になる場面を多く作っていた。
1対1になってしまえば突破力に優れるセビージャのサイド陣を抑えるのは非常に難しい。
1つ目のポイントが素早いサイドチェンジである。
2つ目がハーフスペースのカバーに入っているセンターバックが前に潰しに出た時を見逃さないことである。
この試合普段は左後方からゲームを作ることが多いバネガが中央や右に出てくることも多々あった。
それが狙い通りかどうかはわからないが、その結果、ジョルダンやスソがハーフスペースの高い位置に侵入できる場面が増えて、たまらずインテルのセンターバックが前に出て潰しに行くという場面が多々あった。
その時に空いたハーフスペースを使う意識が非常に良かった。
狙ってセンターバックを引き出してかは定かではないが、空いた瞬間を見逃さなかったのはサイドの攻防を制する上で非常に重要であった。
★カウンター対策とセンターバックの的確な潰し
この試合セビージャが非常に良かったのが攻守の切り替えの速さである。
特にボールを奪われた時の守備は抜群で1失点目はもったいなかったが、それ以外はうまくインテルのカウンター抑制できていた。
ボールホルダーに対しての寄せの速さもさすがであったが、何より光ったのは両センターバックの前への潰しと、アンカーフェルナンドのコース消しのうまさであった。
インテルはビルドアップに詰まった時はキープ力がある2トップに簡単に当てるというプランがあるが、この試合は下がるルカクとマルティネスに対してしっかりついていって潰しができていた。
特にクンデはマルティネスに対してほとんど何もさせなかった。
逆にジエゴ・カルロスはルカクに苦戦気味ではあったが、そこはフェルナンドの守備で上手くカバーできていた。
さらにフェルナンドのカバー活きたのは前線の守備の巧さがあったのも見逃せない。
というのも、インテルのビルドアップが最終ラインと中盤の6枚に対してセビージャは前線とインサイドハーフの5枚で対応していたため、フェルナンドが不用意に釣り出されることがなかったのである。
前にボールが入らなかったためインテルはサイドに入れるしかなく、そこはセビージャが追い込みたい場所でもあったため、回収されてしまうという流れである。
カウンター対策と前線を使わせないというのがセビージャの2つ目のポイントであった。
実際のところ紙一重の戦いであったのは間違いない。
両監督がともに面白いチームを作っており、来季CLでも十分に戦えることを証明した。
ELはモチベーションが微妙とか言われるが、少なくともこの決勝戦はそんなことを微塵も感じさせない試合であった。