ダビド・ルイスのゲームを作る能力〜足元が上手いのと一味違う技術
ダビド・ルイスと言えば、集中しているときはワールドクラスであるが、集中していないときはポカが多いみたいな印象を抱いているサッカーファンがほとんどであろう。
実際それに関しては正直否めないし、調子がいいときは目の覚める対人守備を見せる反面、ダメなときはあっさり股を抜かれたりもする。
ただし足元の技術に関しては常に安定していてハイクオリティのビルドアップは割と保証されている。
ルイスのビルドアップの魅力はと言えばまずは対角線のフィード。
左のセンターバックを務めることが多いルイスが右サイドの裏へ落とす技術は相当高い。
それだけ遠くを見れている証拠である。
また、同サイドの裏へ落とすイン巻きのキックや、フォワードの足元に入れるミドルパスも上手い。とにかくキックの精度が豊富である。
ルイスの魅力2としてドリブルで持ち運べること。
前のスペースが空いているときは持ち上がって、相手の中盤を引き出すプレイができる。
相手が寄せてきてパスコースがないときは自ら横に運んで角度を作り出すプレイが非常に上手い。
よくやるのは右足のインサイドで横に運んで、そこでできたパスコースに左足で縦パスを刺すというプレー。
中盤の選手でも中々難しい技術である。
ルイスの魅力3がやっと今回のテーマであるゲームを作る能力である。
繋ぐのが上手い選手やキックが上手い選手はいくらでもいる。
問題はそれが効果的なビルドアップになっているかどうかの話である。
例えば、ほんとよく言われるのがボールをなるべくすぐに離してシンプルにやれということ。
時間とスペースが限られる前線であればそれは非常に大事なことであるし、最終ラインでもそれが必要なこともある。
ただ、ディフェンスラインはすぐにボールを離してしまうと逆に味方が辛くなることは多々ある。
詰まってるところに出すのは当然出し手が悪いし、そもそも中盤が相手の前線にプレスバックを受ける要因の8割はパスを出した人が満足に引きつけれなかったからである。
空いてるから出せばOKではないということ。
それを踏まえてルイスの魅力はパスを受ける選手がプレーしやすいということ。
例えばボールの回転や強弱を見ても、ルイスの出すパスは次の味方がプレーしやすい軌道がほとんどである。
また、近くにパスを出せる味方がいてもあえて、すぐには出さずに少し待って受け手の準備が整うまで待ったり、あるいは相手を引きつけるプレーをしれっとやっている。
パスが上手い選手は多くいても、パスを出した後の先を見えている選手は中々お目にかかれない。
要するにゲームを作る能力というのはパスを出したら局面がどうなるのかを見ている人だと思う。
ダビド・ルイスはその能力が非常に高い。
すぐにパスを出さないであえてダラダラしてコースができるのを待ったり自ら作ったりするプレーをよくやっている。
今後は足元のテクニックと一緒に、パスを受けた味方がその後どうなったかというのを注目してもらってぜひダビド・ルイスのすごさを堪能してもらいたいななんて思います。