守備で気が利くサイドバックの特徴 〜 アスピリクエタを分析してみた
個人的に現役のサイドバックで1番守備がうまいのはチェルシーのアスピリクエタだと思っている。
1対1の粘り強い対応は元々定評あるが、最近改めて彼のプレーを分析してみて思ったのは、常にボールを奪うことを意識していて、果敢に潰しに行くプレーが多いこと。
その潰す場所が非常に気が利いていて、ここで受けられたら嫌だなと思う場所を絶妙に潰していてる。
しかも、その場所は、アスピリクエタの本来の持ち場ではなく、背後のスペースを空けるリスクを冒して潰しにきているのである。
堅実のイメージがあったアスピリクエタにしては意外で、逆に言うと最高峰の守備というのは「気が利く」選手なんだと感じた。
というわけで今回はサイドバックの気が利く守備について書こうと思う。
★カウンターの目を摘む飛び出し
まずは逆のサイドから攻撃しており、自分は最終ラインに残っている状況。
ちなみに下の図は赤丸が自分達で、右サイドバックの選手を例にしたものである。
もし左からのセンタリングが相手にクリアされると、真ん中のスペースで受けられ、カウンターになってしまう。
本来であれば、中盤の選手がこのスペースをケアするのがセオリーであるが、それが上手く出来なかったという場面だ。
この場合、セオリーでは背後のスペースをケアしながら相手の攻撃を遅らせ、味方の戻りを待つことである。
これが気が利くサイドバックだとこのスペースで受ける選手にを潰しに行けて、インターセプトを狙えるわけだ。
基本はサイドバックの裏の背後のスペースを空けるのはNGであり、潰しにいくタイミングを間違えるとキープされて、スペースを使われてしまい、責任はサイドバックになる。
しかし、アスピリクエタの守備を見てるとリスクを冒しながら何度もこの場所を潰していることが確認できる。
それだけ、空くスペースに目ざとく気を配っている証拠である。
次に攻め込まれた時や、相手がボールを保持している時の守備である。
基本的にカウンター時と同じでサイドバックは背後のスペースを空けないことを第一に考える。
しかし、気を利かせてボランチが前に出た時に中央のスペースをカバーできると、チームは非常に助かる。
センターバックが前に出て、真ん中を空けるのは非常に危険のため、本来の仕事ではないが、サイドバックがカバーする方が理にかなっている。
後はハーフスペースのケアである。
常に監視するのではなく、サイドのスペースをケアしながらも、来ると思ったら事前に消しに行くという、洞察力とバランス感覚が非常に重要になってくる。
良いサイドバックの条件としてスペースを空けないことであるが、それだけではチームを救うことができない。
アスピリクエタのプレーを見ていると、ここに通されたくないなーという場所にことごとく現れており、危険察知能力の高さが伺える。
結局気が利くプレーというのは、試合中にチームメートが困った時、困りそうになった時に助けれる選手ということだ。
そのためには、常に周囲の様子を気にする必要があり、アスピリクエタの能力の高さを改めて認識することができた。