マンチェスター・ユナイテッドのリンデロフを通してみる深さをとる守備について
先日のプレミアリーグマンチェスタ・ユナイテッドVSウエストハムの試合が1対1の引き分けに終わったことで、マンチェスターは3位に浮上し、ウエストハムは残留に成功し、結果的に両者悪くない結果となった。
その試合個人的に注目していたのが、フィジカルモンスターのアントニオを対人プレーに難がありつつもポジショニングで勝負するリンデロフがどのように抑え込むかということである。
結果的に連戦の疲労でキレを欠いたのは多いにあるが、アントニオがスペースで受けることはほとんど見られなかった。
要因は色々考えられて、アントニオに配給するサイドバックがプレスを受けてたこと、そもそもアントニオの背後に走るプレーが少なかったことなどがあるが、個人的にはリンデロフの深さをとる守備が効いていたのが大きいと思っている。
元々リンデロフは相手より先に動いて絶妙なポジショニングをとる守備が秀でているが、この試合のようにスペースを狙っている相手との対戦ではそれが顕著に出ていた。
具体的に深さをとる守備を一言でいうと、パスが出てくる前に後ろに下がることである。
スペースに出てくるボールに対してディフェンスラインの選手は常に前向きでボールを処理ができるポジションを取ることが鉄則である。
要するに出てくるパスに対して相手と同じタイミングで走り出し、そのまま並走するのは絶対に避けなければいけない。
パスが出てくる前に相手より先に下がって、スペースを消して前向きで処理できるポジションを取ることが深さを取るということである。
リンデロフはこの深さを取るが抜群にうまい。
相手より先に動く必要はあるが、早く動き過ぎてしまうと、その分ディフェンスラインが下がるので、ギャップができてしまう。
ポイントは相手がパスを出す瞬間に合わせて一歩先に動くことである。
相手が出したいところに一足早くポジションを取ってくるので、出したくてもだせないのである。
リンデロフの守備があまり目立たないのは、先に場所を消すことで相手がそもそもパスを出してこないからである。
相手のパスをインターセプトできればそれだけインパクトを残せるが深さを取るのがうますぎるがゆえに、注目されないのかなと個人的に思っている。
この試合でもアントニオ走りたいスペースに対して先にスッと入ってくるのでパスが出てこない場面がなんどもあった。
これを踏まえると、ディフェンスのラインコントロールはあげるよりも、深さを取るためにラインを下げることの方がはるかに難しいことがわかる。
リンデロフは常に前向きで処理をするポジショニングが絶妙であるが故に身体能力がそこまで高くなくても、プレミアリーグのアタッカー達と渡り合えるのだ。
スルーパスに対しては深さをとる。そしてそのタイミングを合わせる。
守備のポジショニングの真髄である。