CL準々決勝 マンチェスター・シティ VS リヨン ゾーンとマンツーマン併用で耐えたリヨンと愚作なシティ
チャンピオンズリーグ(CL)の準々決勝、マンチェスター・シティ対リヨンは1−3でリヨンが勝利した。
大方の予想では選手のクオリティに圧倒的に差があるシティが有利と見られていたが、リヨンが見事に番狂わせを起こした形である。
ただし試合内容を見れば割と妥当で、そもそもシティの戦い方にも問題があったし、何よりリヨンの守備が素晴らしくて、1人1人の集中力が完璧であった。
今回はそんなシティとリヨンの試合をリヨンの守備を中心に振り返りたいと思う。
★スタメン
まず最初のサプライズがシティがいつもの4−3−3ではなく、3−4−3のシステムで挑んできたこと。
リヨンは直近のユベントス戦でも5バック気味の3−5−2を採用していたので、シティ戦もこの形でくることは容易に予想がつくので、間違いなくペップの作戦である。
考えられる理由はシステムをミラーにして守備対応をやりやすくするため、ウイングバックでウイングバックを引っ張ってハーフスペースを攻略するため、そもそも前線のコンディションがあまりよくない等色々あるが、どれも微妙であった。
結果的にこのシステムに関しては目に見える成果は見られず結果論ではあるが。ペップの失敗であったと言える。
★リヨンの守備
前半から主導権を握ったのは予想通りシティである。
5−3−2のブロックでシティの攻撃を塞ぐリヨンであったが、ポイントはマンマークとゾーンの併用である。
シティの十八番であるハーフスペースのケアに関しては左右で微妙に違っていて、右サイドはカクレが圧倒的な運動量でカバーに入るのでデナイヤーはそこまで釣り出されることはなかった。
一方の左サイドはコルネもアウアーも攻撃色が強いのでそこまでカバーには長けてないため、センターバックのマルサルがカバーに入ることが多かった。
先ほど書いたゾーンとマンマークの併用についてだが、基本は図にある通り人に厳しく守備をするが、それと同時に選手1人1人が埋めるべきスペースが決められており、状況に応じてスペースを守るか人を守るかの判断を行っていたと思う。
要は決められた人と場所の2択から守備選択をしているということで、シンプルな分ぐちゃぐちゃになりにくいなと感じた。
あくまで個人的な主観ではある。
で、先制したのはリヨン。一本のロングボールからセンターバックの背後に抜け出したのがきっかけだが、ここの抜け出しでうまかったのはサイドでウォーカーに深さをとらしてラインにギャップを作ったコルネである。
リヨンとしては理想の展開であった。
★後半いつもの形に戻すシティ
後半も攻めあぐねたシティはたまらずマフレズを投入していつもの4バックに戻すわけだが、そこでリヨンもシステム変更してきたのがこの試合のポイントである。
デ・ブライネをトップ下に置くシティに対してリヨンはアンカーを配置した4−1−4−1に変更する。
あくまでも引き込もらずに人に行く姿勢は見事である。
ハーフスペースのケアは相変わらずで左は引き続きカクレが、右はマルセロがスライドして、アンカーが最終ラインに落ちることで対応した。
シティはリヨンがきっちり中をしめていたこともあり、最終ラインの前の隙間でボールを受けることができなかった。
そういう意味でもっと早くダビド・シルバを投入していればと感じたのも事実である。
それでも同点に追いつくわけだが、それは最終ラインの前のスペースに縦パスが入ったからこそ生まれた得点であった。
★勝利の女神はリヨンに
同点後はシティがそのまま逆転に持っていくと思ったが、しかしリヨンが勝ち越しに成功する。
アワールのスルーパスから生まれた得点だが、アワールにそこまで守備のタスクを負わせなかったのが功を奏したのかなと感じた。
その後、追加点も上げてリヨンが逃げ切りに成功する。
スターリングの決定機が決まっていればどうなっていたかはわからないが、それでもリヨンの勇気ある守備と周到に用意された守備戦術は素晴らしかった。
逆にシティはシーズン中の圧倒的な攻撃力を全然発揮することができなかった。
本当サッカーは何が起こるかわからないそれを再認識した試合であった。