FAカップ準決勝 アーセナルVSマンチェスター・シティ 会心の勝利のアーセナル 鉄壁の守備とティアニーの可変と先制点を呼び込んだルイスの縦パス その2
前回のその1では守備組織について書いたので今回はティアニーのことと、先制点の場面について深掘りしようかと思う。
★ティアニーの可変センターバック
プレミアリーグのリバプール戦から左のセンターバックにはコラシナツに変わってティアニーが入っている。
これが非常にはまっている。
コラシナツほどのパワーはないものの機動力があるティアニーは鋭い出足で、相手より一歩前に出てインターセプトを成功させている。
アルテタが左右のセンターバックに求めている前に出て潰すことを忠実に実行しているのだ。
守備面での貢献も高いが、それ以上に変化をもたらしたのはビルドアップである。
アーセナルは自陣から繋ぐ時は、ルイスが開きティアニーをサイドバックの位置まで上げる4バックスタイルを取り入れている。
初めからサイドバックの位置にいると相手のサイドハーフに監視されてしまうが、ティアニーはセンターバックの位置にから前に出てくるので、非常に捕まえづらく浮くことが多かった。
また、ティアニーの前に出るタイミングも非常に絶妙である。
ルイスが中に叩いて外に開いてからすっと上がっていく。
仮に低い位置で受けても、パスコースがなければ、自らドリブルで運べることができるのは非常に魅力である。
リバプール戦の前までは左右のセンターバックの持ち運ぶドリブルがなかったため、中盤がフリーになることができずに攻撃が停滞する要因を作っていたが、この試合のティアニー中に運んでジャカに渡すようなプレーで確実に攻撃の起点になっていた。
で、運び出して前に当てた後はそのまま前線に自ら走り込むのも非常に良かった。
守れて、運べて、積極的な攻撃参加もできるティアニーはアーセナルの左センターバックにうってつけな人材である。
★ルイスのパスが素晴らしかった先制点
最後にアーセナルの極上の先制点について。
このゴールは後方からパスを何本も繋いだ後に生まれたゴールである。
このゴールに至るまでに数多くの良いプレーがあった。
まずは当然だが、オーバメヤンのシュートはよく抑えたし、右のアウトであのコースに蹴り込むのはうますぎる。
ぺぺのクロス、ベジェリンのインサイドへのポジショニング、ラカゼットのトラップからの展開、ティアニーの攻撃のスイッチを入れる縦パス、ここまで全て質が高い。
ただ個人的にはその前のルイスからティアニーへのパスを推したい。
一見何気無い横パスに見えるが、このプレーはかなり重要度の高いプレーだと思う。
というのも寄せにきたマフレズは初めティアニーを切っていた。
足元があまり上手くないセンターバックだとここで後ろに戻すかロングボールを選択するが、ルイスをほんの少しだけためてティアニーに出せるタイミングを狙っていた。
ディフェンス目線で考えると、切っているところに出されてしまうと後ろをスライドさせないといけないので非常に厄介である。
前線でプレーする選手であれば相手の逆をとるパスはある程度できるかもしれないが、センターバックの選手がこれをできるのは非常に少ない。
あそこで攻撃のスイッチを入れれる選手をフリーにできたのは目立たないがルイスのファインプレーである。
そういうわけで、今後も得点につながる影のファインプレーにも注目して試合を見ていきたいと思う。
それにしても勝てて良かった。
FAカップ準決勝 アーセナルVSマンチェスター・シティ 会心の勝利のアーセナル 鉄壁の守備とティアニーの可変と先制点を呼び込んだルイスの縦パス その1
いやー本当に会心の勝利であった。
リバプール戦と同じように守る時間が多かったのは事実だが、今回は要所要所で美しいパスワークを披露する機会もあり、往年のアーセナル彷彿させる瞬間があった。
先制点を奪ってからしかっり守り、カウンターで追加点をとるという実に試合巧者な戦いであった。
あのシティ相手にこんな戦い方ができるのかと、今シーズン序盤には考えられなかった。
試合後の選手達の喜びをみても、この勝利がどれだけ胸熱だったかが伺える。
その中でも感想は多々あるが、今回は隙がなかったアーセナルの守備とティアニーと先制点の場面について書いていきたい。
★スタメン
両者恐らく現状のベストメンバーで、アーセナルはここ最近はまっている3バック、シティはデ・ブライネを少し下げ気味に配置した4−2−3ー1である。
★アーセナルのデザインされたハイプレス
アーセナルのハイプレスが非常に良い。
試合を通して常にプレスをかけているわけではないが、取れそうになった瞬間の追い込み方が非常にうまく、成功率がすこぶる高い。
基本はラカゼットがトップ下の位置でアンカーまたはボランチを見て、中からの展開を阻止。
その上で左右のウイングが絞り気味でサイドバックとセンターバックの間の微妙な位置をとる。
センターバックの球出しが若干詰まったと見るやオーバメヤンとぺぺが一気に襲いかかる。
ここの圧力がものすごいため最終ラインの焦りを誘発させている。
ここでポイントになるのがウイングバックが高い位置をとるサイドバックに対して絶妙なタイミングで前に出ることがある。
ここが遅いとエデルソンを経由して簡単にサイドを変えられてしまう。
この試合はベジェリンとナイルズの寄せが素晴らしくパスコースを消すことに成功していた。
もう一つポイントになるのがハーフスペースに入ってくる選手への縦パスを左右のセンターバックが潰せることである。
この試合シティは2ボランチ気味であり、ラカゼット1人では消しきれないので、ジャカも前に出ることが多かった。
すると中盤がセバージョスだけになってしまうが、左右のセンターバックがしっかり前にでてきて潰しに来ていた。
アルテタの3バックシステムの肝といっても過言では左右のセンターバックの潰しはこの試合でも効いていた。
また、右サイドに関してはベジェリンが気を利かして、中のケアを行っていたのも良かった。
その証拠にムスタフィとベジェリンの動きが被ってしまうことが何回か見受けられた。
それは確かによくはないのかもしれないが、危ない場所を消しにいこうとする意識でもあり。
まとめるとアーセナルの時折見せるハイプレスは、タイミングよく詰めれる前線の追い方も良いが、後ろがしっかりと出口を消していることも大きい。
まさにデザインされたプレーである。
★アーセナルミドルプレス
前からのプレスがかからないときはミドルゾーンからのプレスになるわけだが、ここでのポイントはオーバメヤンとぺぺの両ウイングがハーフスペースを切るポジションをとることである。
中を切ったポジションからサイドに出された時は、2度追いする。
仮にシティのサイドバックが高い位置をとるようであれば、速やかにウイングバックが対応する。
ここのハードワークの徹底もアーセナルの守備の魅力である。
★押し込まれた時の守備
押し込まれた時は、シンプルに自陣の前でブロックを作るわけだが、ここで良いのがまずジャカとセバージョスが最終ラインに吸収されずにしっかりボールにアタックできることである。
その上で、バイタル前のコースを消すことはしっかりやる。
この両ボランチのバランス感覚が良かった。
サイドを割られても、ダビド・ルイスが一番危ないところを消してギリギリでクロスを弾き返せるのも大きい。
ルイスはコースを消すのがうまいので、スペースがないところを守らせれば、この上ない安定感を発揮する。
押し込まれても簡単に失点しないのはルイスの存在があるからこそである。
で、奪って味方の状態が悪い時はラカゼットが良い位置にフォローに入っている。
本当にこれは気が利いていて、ラカゼットに預けることで時間を作ってくれて、サンドバックになることがなかった。
味方がいてほしい場所に必ず顔を出しており、プレスに行くだけでなく、奪ったボールを奪われないことでも守備を支えているということが改めて感じた。その2に続く
横浜FC VS 川崎フロンターレ感想 面白かったサイドでの駆け引き
横浜FCと川崎フロンターレの試合、両者ともにポゼッション志向のチームということもあり、ボールを保持した際はテンポの良いパスワークを見ることができた。
結果的には、5−1と川崎の大勝にはなったが、横浜FCも一時同点に追いつき、その時間帯に関しては押せ押せの流れを作れていたので、悲観することはないと思う。
で、その中で噛み合わないシステムでの両者のスペースを巡る駆け引きが非常に面白かった。
というわけで今回は試合の感想についてざっくり書いていきたいと思う。
★スタメン
ポイントは両者ともに中盤が3枚でかつ陣形が完全に噛み合っているものの、後ろの人数が違うため、サイドバックとウイングバックの攻防がか鍵になってくることである。
★川崎守備
横浜FCのウイングバックにボールが入った時、狙いとしては恐らく川崎のサイドバックをつり出させ、その背後をのスペースをついていこうということであると思う。
しかし、川崎はなるべくサイドバックを出させない作戦を選択した。
例えば右サイドの中山にボールが入った時は、大島が中を消しながら寄せて、他の2人も連動して中を埋めていた。
この時に大島が元々いた中盤のスペースが空いてしまうが、そこを消しながらのディフェンスが非常にうまかった。
また、前からのプレスが効いている時はサイドバックが前に出てウイングバックを潰しに行くことも多々あった。
要は基本は行かないが行ける時は詰めるという個人レベルでの駆け引きが非常に効いていた。
★横浜FC守備
一方の横浜FCはウイングバックがガンガン出て、その穴は他の選手が埋めるスタイルであった。
川崎は今シーズンウイングが横幅を取って、サイドバックが内側をとるのが特徴であるが、それに対して横浜FCはサイドバックが中にいてもウイングバックが迎撃することが多かった。
ウイングバックが空けたスペースは左右のセンターバックがスライドして対応しており、結果、川崎のウイングと横浜FCのセンターバックに1対1の場面が多かった。
特に長谷川と星のマッチアップは非常に熱かった。
左右のセンターバックのスライドは比較的よくあるパターンであるが、面白かったのはセンターはスライドせず、中盤の選手がおりてカバーしていた。
この場面は試合を通して常にそうだったので、恐らくチームとしての約束事だったはずだ。
このやり方の難点として、1回サイドに振られて中に戻ってくるとバイタルエリアが空いてしまうことである。
前半は1失点に抑えてはいたが、ペナ前付近で多くのパスを通されていたのはその影響もあった。
これらの駆け引きは非常に面白く、結果的に川崎はサイドのスペースを使われることはほとんどなかった。
サッカーの難しさはチームとしての戦術や狙いはあっても、局面での勝負は読めないところである。
そういう意味で、川崎は一人一人の駆け引き力が横浜FCより上だったのかなと感じた試合であった。
ちなみに田中碧は本当に良い選手だ。
潰せて、配給がよくて、かつポジショニングのバランスが非常に良い。
川崎のパスワークの循環が良いのは田中がうまく潤滑油になっていたからに他ならない。
J屈指のアンカーだと思う、ぜひ日本代表で見てみたい。
ウエストハムVSワトフォードの裏天王山 1枚上手だったウエストハムの組織力
残留争いの大一番、勝ち点で並ぶウエストハムとワトフォードのの直接対決である。
結果はモイーズ率いるウエストハムが3−1で勝利し、ほぼほぼ残留を決めた。
ワトフォードの残りの対戦カードがシティ、アーセナルであることを考えれば、この負けは痛恨である。
ただウエストハムのメンバーを見ると本来はこの位置にいることがおかしいレベルのクオリテイである。
で、個人の力でゴリ押ししての勝利かと言われればそうでもなく、勝負を分けたのは個人的には組織力の差もあったのかなと個人的に思っている。
というわけで、今回はウエストハムの組織力について書きたいと思う。
★ノーブルのトップ下起用
ここ最近多いのが本書はボランチであるノーブルのトップ下起用である。
ウエストハムのスカッドの中でも2列目はかなり充実度が高いが、それでもノーブルを使う理由として考えられるのが守備面である。
確かに、ビルドアップ時中盤に降りてきてパスコースを作るプレーは効果的ではあるが、それ以上に守備でもたらす恩恵の方が大きい。
ノーブルの役割としては、ボランチの前のスペースを埋めて、かつ相手のビルドアップの起点を遮断することである。
そこのスペースを埋めてくれるおかげで、ライスとソーチェクの両ボランチが不用意に前に出る必要がなく、結果最終ラインの前のスペースを狭くすることができるというわけだ。
ノーブルのスペース埋めがないと中盤が間延びしてしまう。
ここのスペースを埋めるソリッド差は確実にウエストハムの守備を支えている。
★絶対にバイタルを空けない両ボランチとカウンター時の起点作り
押し込まれた時に組織がバラバラにならいのもウエストハムの長所である。
特に堅いのが両ボランチ。
守備が脆いチームの特徴として、中盤が最終ラインに吸収されたりして、各選手の守る場所があやふやになっていることである。人数はいるの簡単に失点しまう場面は正にこれである。
その点ウエストハムの両ボランチは徹底的にバイタルを消していて、その結果ワトフォードの攻撃はサイドからのクロスがほとんどであった。
また、後ろに重たくなる戦いでも、カウンター時アントニオがサイドに流れて持ち前のフィジカルを活かしてキープできるのでサンドバックになるのを防げる。
これらはモイーズの指示なのかどうかは定かではないが、各選手がそれぞれ役割を徹底できているのは間違いなく強みである。
★攻撃の狙い
攻撃のバリエーションは派手さはないが、シンプルで効果的なパターンは多々ある。
まずはライスが最終ラインに左に降りて起点を作るプレー。
フィードに定評のあるライスから逆サイドのボーウェンの裏を狙うのは繰り返し行っていた。
またクレスウェルが高い位置を取るかあるいはアントニオがサイドの深い位置を取ることで、サイドバックを引っ張ってハーフスペースで待つフォルナルスルを浮かせるプレーも効果的であった。
後はサイドで作った起点に対して長身のソーチェクがゴール前に出てきて合わせる形はここ最近毎試合行っていて、2点目は正にそのプレーが出たシーンである。
守備に重きを置いた戦い方ではあるものの、バランスを崩さず、選手の得意なプレーや形を活かしやすいパターンを構築するのはエバートン時代のモイーズが垣間見えたなと思った。
単発なプレーが多かったワトフォードに対して、ウエストハムは攻守に組織力が高かったし、プレミアに残留できるのは当然であるなと感じた試合であった。
レスター・シティ不調の要因から考えるレシーバーのレシーバーの重要性
リーグ再開後レスターが中々勝ち切れない。
要因は色々考えられるし、そもそも要因というよりは中断前が出来過ぎだった可能性もある。そこら辺議論が分かれるところではあるが、いずれにせよ絶好調ではない。
まず何よりここにきて怪我人が続出していることは非常に痛い。
で、それ以外で最近のレスターの不調の要因を探ろうと試合を観たところ、正直そんな悪い内容ではないなと感じた。
得意の狭く圧縮したハイプレスは強力であるし、左サイドのカバーリングは相変わらずソユンクが健在だしエンディディのボール奪取は見事である。
要するに守備に関しては今シーズンの好調時とさして変わらないと思う。
正直毎試合分析できるほどレスターファンではないので間違えていたらごめんなさい。
その上で攻撃に関しては正直停滞気味と感じた。
ヴァーディの決定力に陰りはなく、ファイナルサードのアイデアは悪くない。
問題はそこにいくまでである。
後ろからのビルドアップがというか仕掛けの場面に行くまでが微妙な印象。
後ろの配給面に関してどのチームもエンディディを消しにくるので、最終ラインから攻撃のスイッチを入れる必要があるが、エバンスはどちらかというと安全なパスが多いが、ソユンクに関しては隙あらば鋭い縦パスを入れることが多い。
問題は縦パスを入れた後である。
受け手が下手というよりかは、パスを受けた人をフォローする選手の動きが微妙である。
いわゆるレシーバーのレシーバーである。
そういう意味でマディソン不在は非常に大きい。
マディソンは足元のスキルもさることながら、パスを引き出す動きも上手い。
というかボールに触りたがりなので結構色々なところに顔を出す。
それが仇となって守備に穴を空けることもあるが、、、、。
レスターの魅力は狭いスペースに多く選手が入ってきてパスコースを多く作り、テンポを上げていくことである。
それが現在できなくなっているのが痛い。
要はボールの循環が良くない。
★パスは誰からも受けれるわけではない。
味方がボールを持ったらチーム全員がボールを受けれるようにする。これは小学生の時に指導者によく言われる。
ただ現実的にボールを持っている選手から全員がもらえるわけではない。
選手の器量にもよるが、せいぜいもらえる可能性があるのは5〜6人が限度であろう。
それ以外の選手は関わることはできないので、次の動きに備える必要がある。
試合のレベルが上がれば上がるほど、ボール受けた選手の時間がなくなっていくので、あらかじめ予測してフォローに入る必要で、ボールを受けるか次に備えるかの判断が重要になってくる。
現在のレスターがなんとなくそこが良くないのかなと感じた。
縦パス自体はある程度入れることができているのに、その後スピードが上がりきらない。
それはレシーバーのレシーバーの存在が少ないのからかなと勝手に思っている。
縦パスに対する連動が弱いと感じる。
序盤戦は4−1−4−1でマディソンが自由に動く感じでパスコースが多く、つかまえきるのが難しいなという印象を受けたが今は停滞している。
上位争いのプレッシャーもあるだろうし、疲労も当然あるとは思うが、なんとなくパスの循環の悪さがレスター不調の要因の1つであると感じた。
まあそういうわけで結果的にCL争いが非常に楽しみになったのも事実だ。
ここからレスターが粘るのかそれとも他のチームに刺されるのか非常に楽しみである。
ダビド・ルイスについて 両足で蹴れるセンターバックの有効性
先日のノースロンドンダービーは非常に残念で、それについての内容は前回の記事で触れたので、今回は別のことについて話します。
ダビド。ルイスはスパーズ戦でもちょいちょいミスはあったものの、アーセナルの最終ラインの中では群を抜いてビルドアップが上手い。
高精度のロングフィード、運び出し、縦パスどれを取ってもモノが違う。
その中でもルイスは両足を使えるのが非常に魅力である。
右足でも左足でも状況に応じて起用に使い分けることができるのである。
センターバックは前線に比べてそこまでプレッシャーを受けるわけではないので、常に利き足にボールを置ければ、両足で蹴れる必要性はそこまでないだろうという見方がほとんどである。
ただ個人的にはそうは思わない。
両足を使えるとビルドアップでかなり違いを作れると思っている。
というわけで今回は両足を使えるセンターバックの有効性について書きたいと思う。
★常に味方に優しい回転
両足を使える第一のメリットはまず、常に相手から遠ざかるアウトスイングの回転をかけたパスを出せる点である。
相手から遠ざかる回転は、味方からすると自分に近づいてくるので、その分ルックアップしてしながらトラップすることができる。
あるいは寄せられていても回転がかかっていることで数センチではあるが、回避することができる。
逆に前のスペースが空いている時はインスイングの回転をかけてボールを前に進めることができる。
些細なことではあるが、回転がかかった軌道が少し変わるだけで、視野の確保がしやすくなるのだ。
その状況に合わせて必要な回転をかけることができるのは両足キッカーの利点である。
★タイミングを逃さないとギリギリまで持てる
両足で蹴れると、ボールがどの位置にあっても持ち替えずにパスを出せるので、味方の動き出しのタイミング逃さない。
左にあるボールを右に持ち替えるとその分、余計なタッチをすることになり味方がいい動き出しをしていても見逃すことになる。
ちなみにだが、前線と違って最終ラインではミスが即失点に繋がるので、慣れてない逆足でチャレンジすることはほとんどない。
ミスしそうであればキーパーに下げるか前に蹴り出すか利き足に持ち替えるかがほとんどである。
要するに逆足が蹴れないとパスを出せるタイミングでもやめてしまうことが多いにあるということである。
タイミングを逃さないということは、さらに相手に寄せられていてもギリギリまで待つことができるということに繋がる。
普通の人なら利き足に持ち替えるか繋ぐのを諦めてしまうタイミングでもすぐにパスを出せるので、味方がいい状態になるのを待つことが可能になるというわけだ。
★左右両方への持ち出しをかけれる
両足が使えれば単純に、蹴りやすい方を考えずに空いてる方に自由にドリブルすることができる。
右足でしか蹴れないから右に持ち出して角度が狭くなっていくという場面はよくある。
両足に自信があれば、空いているところを使うことができる。
以上のことから、両足でビルドアップができるダビド・ルイスはかなり優秀であるし、チームをとてつもなく助けていることがわかる。
確かになんだかんだごまかすことはできるかもしれないが、両足を使えることでかなりビルドアップの質が変わってくる子がわかっていただけたらいいなと思っている。
そんなダビド・ルイスを褒め称える記事でした。
アーセナル 狡猾なモウリーニョにやられたノースロンドンダービー
グーナーとしては絶対に負けられない試合、ノースロンドンダービー。試合の支配はしていたが、不用意なパスミスとセットプレイからの得点で負けるというのは、いかにもアーセナルらしい悪い意味で。
でこういう狡猾な勝ち方ができるのがモウリーニョの強みである。
選手にハードワークを徹底させて相手の嫌がるところ執拗について、攻められても要所を締める。かつてヴェンゲル時代に苦しまされたモウリーニョサッカーそのもので、憎らしい程狡猾であった。
戦術的なことは一旦封印して、この試合におけるモウリーニョの憎らしさを語りたいと思う。
★フィジカルモンスターシソコのサイドハーフ起用
本来真ん中が主戦場のシソコは昨シーズンポチェッティーノ監督時代にもサイドで起用されることは多々あった。
ただモウリーニョは彼を中盤で使うことの方が多かったのでわりかし以外ではあった。
恐らく意図としてはアーセナルの3−4−3に対して4−4−2でシステムを噛みあわせた上で、ウイングバックのティアニーとハーフスペースをケアしつつも、時には前にでてコラシナツに圧をかけさせるというものであろう。
守備範囲が以上に広いシソコだからこそ可能なミッションである。
さらに、コラシナツのビルドアップが拙い部分を圧倒的なプレス力があるシソコを当てるというのも非常に嫌らしい。
相手がやられたら嫌なことを熟知している。
そんなコラシナツのパスミスから失点したのは決して偶然ではないのかもしれない。
★流れを切るテクニカルファール
フェアプレーの精神を考えると賛否両論があるかもしれないが、この日のスパーズはファールが非常に上手かった。
アーセナルの攻撃のテンポが上がりそうな時は必ずと言っていいほど、ファールで流れを切っていた。
また、カードにならないくらいギリギリ、出てもイエローくらいのところを攻めているのが非常に上手い。
ファールで止めるというのは逆にいうと、ここは止めないとやばいなという試合の流れを全員が理解してからに他ならない。
恐らくやばいと思ったらファールで流れを切るという共通認識がチームであったのではないかと思う。
主導権を握られても気持ちよくプレーはさせないというのはモウリーニョの真骨頂である。
★中を徹底的に締める
スパーズが試合を通して隙のない守備をしていたかというとそうでもない。
支配率が低いのはいいとしても、サイドに振られることもあったし、降りてくるラカゼットを捕まえ切れず中盤で数的不利を作られることは多々あった。
もちろんシュートもそれなりに打たれている。
それでもシュートに対しては必ずブロックに入るし、揺さぶられてもセンターバックは外につり出されず中で勝負できるし、とにかくチーム全体で中を締める意識が非常に強かった。
押し込まれても急所には絶対に入れさせない、閉めるめるところを徹底的に閉めるという割り切りはこれぞモウリーニョであった。
アーセナルの戦術的な課題も多々あるが、この試合はモウリーニョの狡猾さが何より際立っていた試合であった。