サッカー 守備について適当に語るブログ

サッカーについて適当に書きます

アトレティコの堅守の仕組み

 アトレティコ・マドリードと言えば、圧倒的なインテンシティと守備の強度が真っ先に思いつく。シメオネが監督に就任にしてから毎シーズンリーガの最小失点争いは上位である。

 

守備は正直理詰めだと思う。チームとして決められたブロックの形をどれだけサボらずに形成し続けるかの戦いである。

アトレティコは、ただ自陣に引きこもるだけのチームではない。

その上でなぜアトレティコが毎年あれだけ強固な守備を作ることが出来るのかを考察したい思う。

 

一番直近の試合がCLのリバプール戦のセカンドレグで、その時のスタメンを元に紹介する。

 

★全員のハードワーク

これは正直強固のブロックを作る上で大前提であるが、サイドハーフフォワード守備時は必ず自陣にまで戻ってきている。

戻ってきて、スペースを埋めるだけでなく、プレスの強度が強い。ピンチになりそうな時は躊躇なくファールで止めに行く。アトレティコの選手にカードが多いのは、戦う選手が多く、戦術的にもファールで止めることが組み込まれているからである。

これに関してはフェアプレーの観点からみると賛否両論あるとは思うが、個人的は相手を怪我させる程でなければありだと思う。

 

★押し込まれた時は中盤と最終ラインの間を圧縮

アトレティコのプレス開始位置は大体ハーフラインの少し前くらいで、最終ラインはそこまで低くはない。ただライン間の距離は常にコンパクトにし、間延びは絶対にさせない。

 

ここまではどこのチームが行なっているが、他と違うのは押し込まれた時のライン間。

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特徴として、最終ライン中盤の距離を出来るだけ狭くし、縦パスを入れさせない。横もペナ幅くらいにおさまるくらいコンパクトにし、ハーフスペースのケアはサイドハーフが行う。

これだけ中盤のラインを下げると、その前でボールを持たれてしまうので、フォワードもブロックに加わることが大前提である。

 

とにかく絶対に中からは行かせないというスタンスである。

 

★絶対に釣り出されないセンターバック

アトレティコの守備の真髄と言っても過言でないくらい、ここは徹底している。

守備が一番強いセンターバックを常に中央に置くことは理に適ってはいるが、そう簡単にはいかない。

 

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サイドにボールが入った時、ボールホルダーに対してはサイドハーフが行く。ハーフスペースのカバーをサイドバックが入るのが基本。その時の状況によっては、サイドバックがボールに行って、サイドハーフがハーフスペースを埋めることもある。

重要なのは、ハーフスペースのカバーにセンターバックを行かせないということである。

 

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サイドハーフが戻れなかった時、あるいは一個前にプレスに行っている時は、ボランチがカバーに来る。それに伴い中盤はボールサイドに絞る。間に合わない時は、気を利かせて前線が降りてくる時もある。

ただ、流石のアトレティコでも、ボランチがハーフスペースにカバーに行ってる時は、真ん中が手薄になっていることが多く、セカンドボール争いで後手を踏んでいる。

 

現代でサッカーではハーフスペース攻略すること得点の確率が高まると認知されているため、ここを守りきれるチームというのは必然的に守備力は上がる。

ブロックの構造はちゃんとしていても、やはりサボる選手が出てしまうと成り立たない。

そう意味でアトレティコセンターバックが釣り出せれることがなく必然の堅守であると言える。

 

★スライドの速さ

最後にスライドの速さが上げられる。これも運動量とメンタルによるものではあるが、サイドが変わった時にスライドが遅れることがほとんどない。

ピッチの横幅を4人で相当きついはずであるが、それを感じさせないし、5人にして他の場所を薄くするということもない。

 

これらがアトレティコの堅守を作っているメカニズムである。

そんなに複雑なことはやっていないが、やはりそれを続けるという献身性があるからという結論に至ってしまう。

それを就任からずっと選手にやらせているシメオネのカリスマ性の高さを改めて感じた考察であった。