抜かれないディフェンスが必ずしもいいとは限らない
サッカーのディフェンスには基本的な3原則が存在する。
まず最初に狙うのはインターセプト。インターセプトがだめな時は、相手に前を向かせない。
もし前を向かれたら、1発で飛び込まずに遅らせてできるだけ時間を稼ぐ。
インターセプト→前向かせない→遅らせる。
この順番と原則は小学校でも習う守備の基本である。
この原則の特徴として、インターセプト以外は自分で奪うのではなく、プレスバックにくる味方を前提とした守備である。
レベルが上がれば上がるほど、前を向いた選手は非常に怖いし、1人で対応するのは難しい。
それを踏まえると、相手が前を向いてボールを持っている時はまずは抜かれない位置どりをするのがセオリーである。
今シーズン、マンチェスター・シティのオタメンディが一発でボールを奪いに行って結果交わされて失点もしくはピンチを招くシーンが多々あり、批判の的になっている。
この原則はオタメンディも当然知っているはずにもかかわらず、なぜ何度も繰り返すのか。もちろん試合展開によって焦りがある時もある。
オタメンディの判断は失点している以上間違いではあるが、オフェンス側からすれば奪いに来ないディフェンダーは怖くない。
失点している部分がクローズアップされているが、奪いに行って結果奪えてる場面が何度もあるのだ。
ディフェンダーが奪いにくる雰囲気がなければ、落ち着いて次のプレーを選択することができる。
もちろん抜かれない間合いかつ相手に自由をさせない間合いをとれればいいが、相手がトッププレイヤーになれば、抜かれない間合いイコール余裕のある間合いになってしまう。
だから、状況によっては抜かれるリスクを冒して奪いにいかなければ場面は存在する。
例えば、時間を稼いだとしても味方のヘルプが間に合わなそうな時。
後はカウンターを受けた時に時間を稼いで味方の帰陣を待つのがセオリーであるが、そこで待たずに一発で取ってしまえばカウンター返しができそうな状況であれば、奪いにいくべきである。
ただせっかく味方が戻ってきた時のに、待たずに一発で抜かれるのはナンセンスである。
結局原則ではまず抜かれないというのは大事であるが、奪いにいかないディフェンスはそれはそれでだめだということ。
ボールを持っているオフェンスが、目の前の相手ではなく周囲の状況に気がいってしまっている時点で、プレス(圧)がかかっていないのである。
もし今後、一発で奪いに行って交わされているディフェンスがいた時は、そうせざるを得ない状況であったのかそれとも判断が悪かったのかどうかを考えていただけたらなと思う。