アーセナルリーグ戦再開後に期待することその3 相手の中盤の守備ラインをどう越えるか〜エジルの活かし方
また前回に引き続き、アーセナルのリーグ戦再開後に期待することを書きます。
その3として相手の中盤の守備ラインをどう越えるか。
相手の最終ラインと中盤の間の隙間で待つ選手にどのようにボールを届けるかで、簡単に言うと、エジルにいい状態でボールを渡すにはどうしたらいいかと言うことである。
グアルディオラがビルドアップの目的として、「バイタル近くのハーフスペースにいかにボールを届けるかだ」と発言していた通り、どのチームもこの課題を解消するのは難しい。
がしかし、アルテタはエジルをこのチームの中心に据えて方おり、エジルの創造性あふれるプレーを活かしていこうという考えなので、ボールがいかないことには始まらない。
アルテタ政権で特に攻撃がよくなかった試合がアウェイでのバーンリー戦。
バーンリーのサッカーはロングボール中心の攻撃で、守備の関してはきっちりスペースを消してくる。
いかにもアーセナルが苦戦しそうなサッカーではある。
その時の形がこちら。
この時は相手が中盤のラインを上げてこないこともあり、ジャカを最終ラインに組み込む可変ビルドアップは行なっていない。
さらにこの時はぺぺの代わりにマルティネッリが右に使われており、横幅を取れていなかった。
この試合はとにかく隙間を使うことができなかった。考えられる理由をあげたいと思う。
★受け手が少ない
そもそも隙間に常駐している選手がエジルしかいない。オーバメヤンとラカゼットが入ってくるのはむしろエジルにボールが入ってからであり、受け手が少ないと単純に相手の警戒が1つに集中してしまうので出すのが難しくなる。
常に前線が2人は隙間で受けるのを狙っているのが望ましい。
★引きつけれる選手の不在
この試合では中央にはジャカとゲンドゥージ、ジャカが最終ラインにおりた時は真ん中が1人になるわけだが、この真ん中の選手が相手の中盤のラインをいかに釣り出せるかが重要になってくる。
具体的に釣り出す方法だが、1つは自らドリブして進み相手が出てくるの促す方法。
もう1つは初めからあえて相手の近くに立ちボールを受けて、相手を喰いつかせる方法。
これは真ん中の人数が少ないと、フォローが少なく危険なので2人以上配置する必要がある。
ジャカもゲンドゥージもトレイラも相手を引きつける(中盤のラインのバランスを崩す)プレーがあまりうまくないから、エジル等へのパスコースができない。
その点セバージョスはスペイン人なだけあって自分で運んで引きつけることができる。
恐らく中断前の終盤に重宝されるようになったのはその辺が大きいと思われる。
運ぶドリブルができない選手を起用するのであれば、偽サイドバック等で人を配置し、人をひきつけられるようにするべきである。
★最終ラインからの飛ばすパス
最後が最終ラインから中盤を飛ばして直接縦パスを入れる方法。
アーセナルの最終ラインでシビアな縦パスを入れるのが上手いのはダビド・ルイス。
ただ、ルイスは左のセンターバックをやることが多く、右に流れるエジルと相性が悪い。
右のセンターバックからもっと質の高いボールが出てくればもっと攻撃が良くなる。
シティのラポルテからシルバへのパスをイメージしてもらえればわかりやすい。
その点、パブロ・マリが入ってルイスを右に置けるようになったので改善の可能性はある。
以上の三点。レシーバーを増やして中盤のラインの間隔を引き延ばす(横)。中盤から相手の中盤の選手を喰いつかせる(縦)。一個飛ばしボールを最終ラインから打ち込む(立体)。
横、縦、立体をどのように改善してボールをバイタルに届けるのか、中断再開後はそこにも注目して試合を見たいと思う。